いちばんえらいお稚児さん?

篠田ほつう

2008年07月14日 10:40

 山鉾が出揃いましたね。


 上久世の綾戸国中(あやとくなか)神社からやってくる久世駒形稚児は、神幸祭と還幸祭の神輿渡御で、素戔嗚尊を祀る神輿の中御座の行列に伴って廻る稚児でございます。
 八坂神社のご祭神が、素戔嗚尊の和御魂(にぎみたま・神の優しい側面)で、遠く離れた上久世の綾戸国中神社の祭神が、八坂神社と同一神の荒御魂(あらみたま・同じ神の荒々しい側面)といわれております。八坂神社の和御魂に綾戸国中神社の荒御魂が来て、両者が合体してはじめて祇園祭が成立するため、実は最も重要な役割を担ってきました。



 綾戸国中神社の御神体馬の首の形を模した「駒形」、駒形稚児は胸にその形代をかけますので、稚児は神の化身、神そのものでございます。「皇族下乗」といい、五位の位のある長刀鉾稚児や皇族でも乗り物から降りなければならない八坂神社の境内にも馬に乗ったままで入れ、直接本殿に乗り付けることができたと申します。それほど久世稚児は格式が高い、いちばん偉かったのでございます。



 神幸祭、還幸祭では、騎馬で三基の神輿の先導役を務めます。祇園祭はやはり、神事でありました。
 ところで、この中御座に奉られる素戔嗚尊、明治以前は、牛頭天王でありました。維新以後の皇国史観、諸般の情勢で、牛頭天皇が切り替えられて参ります。そのお話は、また次回……。

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